GEクロマトグラフィーシンポジウム~ゲルろ過・Sephadex 50周年記念~
報告レポート

生化夜話作者兼バイオダイレクトメール編集長<藤>の会場レポート
電気泳動の実験で電流を流し忘れるという失敗から生まれたゲルろ過、そしてゲルろ過の基盤となったSephadex。はじめての論文がNature に掲載されたのは、1959 年のことでした。それから50 年を経た本年、これを記念してGE クロマトグラフィーシンポジウムを開催しました。
左はSephadex販売当初のカタログです。
講演のトップバッターは東京大学の田之倉先生。X 線構造解析の試料となるタンパク質の発現と精製を中心に紹介してくださいました。田之倉先生は学生時代には、ワットマンのCM-Cellulose と分光光度計の組み合わせで、一晩~一日かけてタンパク質を精製されていたそうですが、目的のタンパク質を短時間で準備しなければならないので、今はAKTA とプレパックカラムの組み合わせでお仕事をされています。

次は、ウプサラ大学のヤンソン先生です。ヤンソン先生はゲルろ過の開発者であるポラート先生の後継者で、1960年代初頭から生体分子の分離精製一筋のエキスパート。電気泳動法を確立したティセリウス先生は、実はクロマトグラフィーという言葉が嫌いだった、などの裏話を交えたクロマトグラフィーの歴史の講演は、あっという間の40 分間でした。

歴史の後で一休み。長めにとった休憩時間では、ヤンソン先生との記念撮影を行いました(希望者のみ)。この会のために購入した写真プリンターで記念写真を印刷し、お帰りの際に皆さまにお渡ししました。20年前「蛋白質核酸酵素」に掲載された「セファデックスはどのようにして開発されたか」の別刷りに、生化夜話作者がこの時間を利用して著者であるヤンソン教授と訳者である大阪大学の高木先生のサインをもらいに行ったのはここだけの秘密です。今回のシンポジウムは、弊社が開催するイベントの中でも特に参加いただいた方の年齢の幅が広く、休み時間には親子以上に年が離れているのではないかと思われる方々が会話されていることもありました。
休憩時間の後は、歴史から一転して最新の話に戻ります。大阪大学の野地先生が、一つだけを取り出してみることではじめてわかる分子の動きの話をしてくださいました。実は、野地先生は1998 年のAmersham Pharmacia Biotech & Science Prize*の受賞者で、その当時の懐かしい動画も見せてくださいました。
*Science との共催で、分子生物学分野で特に優れた業績を上げた若手研究者を博士号学位論文に関するエッセイによって選考・表彰しています。現在の名称はGE & Science Prize for Young Life Scientists。詳しくはこちらをご覧ください。

「本当に回るんですねえ」と野地先生が紹介された分子の動きへの感動からスタートしたラストバッターは、味の素株式会社の江島様。原理は不明ながらも現象としてはアルギニンを添加することでクロマトグラフィーの結果が改善するというデータを紹介されている間、江島様の柔和なお顔にはアミノ酸の会社としての思いが溢れているように見えました。

実は、このようなイベントを開催する度に、質疑応答が活発でなかったらどうしようと心配しているのですが、このシンポジウムに限っては、それは全くの杞憂でした。会場からは講演の感想や質問が多数出され、質疑応答の時間が足りなくなるほどでした。こうして4 人の先生方の熱いお話とともにあっという間に過ぎてしまった半日は、クロマトグラフィーの過去、現在、そして未来につながる小径の交差点だったのかもしれません。
※ご講演内容につきましては、こちらに要旨を掲載しております。

GEクロマトグラフィーシンポジウム~ゲルろ過・Sephadex 50周年記念~

1959年6月のNatureに「Gel filtration: a method for desalting and group separation」というタイトルの短い論文が掲載されました。これが、ゲルろ過、そしてゲルろ過とともに生まれたSephadexの、はじめての論文でした。
参考:生化夜話 きっかけは電気泳動装置のスイッチの入れ忘れ
それから50年、電気泳動の実験で電流を流し忘れるという失敗からはじまった ゲルろ過は、生体分子の精製には欠かせない技術となりました。これを記念し、 GEクロマトグラフィーシンポジウムを開催いたします。本シンポジウムでは、 第一線でご活躍の先生方や、ゲルクロマトグラフィーの開発に携わった方を お招きし、クロマトグラフィーの歴史から、最新の研究成果・技術までをご講 演いただきます。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
演者およびご講演タイトル
- 【Jan-Christer Janson 教授(ウプサラ大学・スウェーデン)】
The History of the Development of Protein Chromatography(講演要旨PDF)
- 【田之倉 優 教授(東京大学大学院 農学生命科学研究科)】
構造解析に向けたタンパク質の大量調製(講演要旨PDF)
- 【野地 博行 教授(大阪大学 産業科学研究所)】
膜タンパク質のin virto 1分子ダイナミクス計測(講演要旨PDF)
- 【江島 大輔 主席研究員(味の素株式会社)】
アルギニンを利用したタンパク質のクロマトグラフィー(講演要旨PDF)
開催日時
2009年7月1日(水) 14:00~18:00予定(13:30受付開始)
会場
品川イーストワンタワー 21F 大会議室(品川駅から会場までの順路(PDF))
定員
100名
参加費用
無料(要事前登録)
申込み方法
本イベントの受付は終了しました。
申込み締切り
2009年6月26日(金) 17:00
※定員に達した場合、上記よりも早く締め切る場合があります。
お問合せ先
本シンポジウムに関して、ご不明な点がございましたら下記までお問合せください。
皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
GEクロマトグラフィーシンポジウム事務局
Tel:03-5331-9334