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Location:ホーム実験手法別製品・技術情報二次元電気泳動

二次元電気泳動がうまく行かない・・・
成功のキーポイントは“サンプル調製” その2 (分画/溶解)

(2010年9月30日配信)

前回、「うまくいっている二次元電気泳動」がどのようなケースであるかということをご紹介し、その一点目、「1.スポットパターンがクリアなこと。余分な縦筋、横筋が無いこと」についてご説明いたしました。

今回は二点目のケース、「2.検出したいタンパク質が泳動パターンから確認できること」について述べます。

検出したいタンパク質スポットが確認できないとき・・・ サンプル調製に工夫の余地あり

皆さまが泳動パターンを確認したときに、ターゲットのタンパク質が検出されていれば「うまくいっている泳動」とお考えになることでしょう。反対に、泳動パターンを見て「ターゲットのタンパク質が見つからない」と、「泳動がうまくいかない」となるのですが、この要因にはさまざまな点が考えられます。

この要因に深く関わっているのは、やはりサンプル調製となります。では、皆さまがターゲットとしているタンパク質スポットを見つけやすい泳動パターンを得るためには、どのようにサンプル調製を進めれば良いのか、その工夫についてご紹介します。

検出したいタンパク質スポットが確認できない要因としては、以下のような点が挙げられます。

  1. スポットパターンがクリアでない
  2. サンプル添加量や検出手法が適切でない
  3. 目的タンパク質の濃度が低すぎる
  4. 泳動サンプル中に目的タンパク質が溶けてない

この内、「1.スポットパターンがクリアでない」、「2.サンプル添加量や検出手法が適切でない」については、前回「成功のキーポイントは“サンプル調製 その1」にて解決方法をご提案していますので、そちらをご参照ください。ここでは、それ以外の問題点の解決するためのサンプル調製についてご紹介します。


目的タンパク質の濃度が低すぎる ⇒前分画が有効

いくら二次元電気泳動の分解能が優れているといっても、それには限界があります。Ettan DALTのゲルサイズ(26×20 cm)であっても、検出できるスポット数は4,000個程度です。そうすると単純に考えてサンプルに含まれる上位4,000位までの発現量の多いタンパク質は検出されますが、4,001位以下の低発現タンパク質は見えていないことになります。目的とするタンパク質がこのような低発現タンパク質であった場合、普通にサンプル溶解して泳動をしても検出することは難しくなります。

このような問題点を解決するには、分画操作が有効です。

ターゲットのタンパク質の細胞内での局在や性状がわかっていれば、その性質を利用して分画したサンプルを泳動することで、組織や細胞全体(whole cell)をホモジナイズ(溶解)したサンプルよりも検出できる可能性が高まります。

分画にはさまざまな手法がありますので、その一部をご紹介します。

オルガネラによる分画

局在するオルガネラに注目するのであれば、特別な方法や試薬が必要ではないかもしれません。脳内の膜タンパク質をターゲットとし、疾患において発現変動するタンパク質を前もって分画することで効果的に検出した例が図1です。

オルガネラ分画によるスポット検出の違い

図1 オルガネラ分画によるスポット検出の違い

同じ等電点・分子量のエリアにおいて、Triton可溶性画分と粗PSD画分から得られた泳動パターンの比較。詳細はアプリケーション 「疾患プロテオミクス:Ettan DIGEシステムを用いたてんかんモデルラット脳の膜タンパク質の変動解析(PDF)」 をご参照ください。

溶解度による分画

単純に溶解度の違いでタンパク質を分画する方法です。硫安分画が良い例ですが、2-D Fractionation Kitもこの分画手法を用いています。低発現タンパク質を検出する有効な手段です。

特定タンパク質の濃縮

シグナル伝達系をつかさどるタンパク質がターゲットなら、リン酸化タンパク質濃縮カラムでの処理が有効です。(リン酸化タンパク質濃縮カラムを使ったアプリケーション例

免疫沈降も効果的な前分画方法です。溶出時に抗体が混入しづらいビーズと抗体をクロスリンクするプロトコールがある担体が便利です。弊社からもスピンカラムや磁気ビーズタイプなどさまざまなフォーマットのProtein AおよびProtein G製品をご用意していますので、用途にあわせてご利用いただけます。(参照:実験手法別製品・技術情報 サンプル調製:タンパク質濃縮・免疫沈降

また、サンプル量に余裕があれば、ネガティブコントロールの泳動パターンをとることをおすすめします。抗体を結合させていないビーズだけで沈降処理を行ったサンプルを泳動することで、非特異吸着タンパク質のスポットを特定することができます。

高発現タンパク質の除去

血清に含まれるアルブミン、免疫グロブリンは総タンパク質の60%を占めるといわれています。ヒト血清であればAlbumin & IgG Depletion SpinTrapのような小容量での除去カラムが販売されています。

特定細胞からの抽出

Ettan DIGEをお使いでしたら、レーザーマイクロダイセクション法を用いた試料調製による、組織ではなく細胞に基づく前分画手法が有効です。超高感度の蛍光色素(CyDye DIGE Fluors Saturation Labelling Dyes)でタンパク質を標識することで少ない数の細胞で二次元電気泳動ができます。

具体的なタンパク質抽出方法は、国立がんセンターの近藤格先生に執筆していただいたDIGE道場 第3回に詳しくあります。実際に近藤先生のラボで行われている、組織からのサンプル抽出方法をご覧ください。

(参考) 各メーカーから抽出キットが販売されています

各メーカーよりいろいろな分画用のタンパク質抽出キットやカラムが販売されており、例として、核内タンパク質や膜タンパク質を特異的に抽出するのに最適化されたキット等があります。これらのキットを使うことで、ほとんど条件検討の必要なく、目的とするタンパク質サンプルを得ることができます。


泳動サンプル中に目的タンパク質が溶けてない ⇒溶解度を高める試薬の添加

タンパク質の性質はさまざまです。泳動しているサンプル中には、目的タンパク質が含まれていないことも考慮に入れなくてはなりません。例えば、膜タンパク質のような難溶性のタンパク質を解析する際には、溶解のための条件検討が必要になることも多いです。では、溶解性を増すための方法についてご紹介します。

サンプル調製にSDSが使用できるのをご存知ですか?

一次元目のImmobiline DryStripにアプライするときに、ゲル膨潤総液量に対してSDS濃度が0.25%(w/w)以下であり、さらに非イオン性、両性界面活性剤が8容量(4% w/w)以上あれば、使用できます。

その他の溶解度を高める試薬

難溶性のタンパク質には変性剤にチオ尿素、界面活性剤に両イオン性のCHAPSを加えたりして、溶解度を上げることができますが、最近はCHAPSだけでなく、いろいろな界面活性剤や非界面活性剤スルフォベタインを添加することで溶解性、抽出性をあげることが報告されています。2-D Protein Extraction BufferのIII((ASB-16, Amidosulfobetaine-16))、IV ( SB 3-10, n-Decyl-N,N-dimethyl-3-ammonio-1-propanesulfonate)、およびVI(NDSB-201, 3-(1-Pyridino)-1-propane sulfonate)は効果のある添加剤をあらかじめ混合した調製済みのドライパウダーと希釈液からなり、混ぜるだけで簡単に使用可能です。トライアルキットもございます。

(参考) SDS-PAGEやウェスタンブロッティングで溶解の確認

目的タンパク質の溶解に不安のあるサンプルであれば、事前にSDS-PAGEやウェスタンブロティングにて確認することをおすすめします。


まとめ

二次元電気泳動がうまくいくためのサンプル調製時の工夫点として、分画と溶解についてご紹介しました。

検出するのに十分な量の目的タンパク質が泳動サンプル内に含まれる状態にできれば、よりスムーズに解析を進めることができます。

また、今回はターゲットタンパク質がある程度特定できている場合を想定した流れでご説明しましたが、“ターゲットとしているタンパク質が決まっていない場合=二次元電気泳動でターゲットとなるタンパク質を決定する” というケースでも、組織や細胞全体(whole cell)をホモジナイズ(溶解)したサンプルでは、うまくターゲットを特定できない場合があります。そのような場合には、前分画後の泳動や、溶解バッファーの検討をすることで良い効果があるかもしれません。上記を参考に、ぜひご検討ください。

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