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Location:ホーム実験手法別製品・技術情報BIA(生物物理学的相互作用解析)

Biacore T200 が広げる分子間相互作用解析アプリケーション

高感度がもたらすメリットとは?

Biacore T200は、数RUのレスポンス差を検出できる高感度システムです。100 Da以下の低分子をアナライトとして相互作用解析が可能で、例えば分子量が小さく一般的に低アフィニティーであることが多いフラグメント化合物の測定などでも広く使われるようになりました。測定機器の感度の上昇は、低分子相互作用の結合を見やすくするだけではありません。以下にあげるような相互作用においても、大きく可能性を広げることができるのです。

細胞を固定化して抗体のカイネティクス解析

シグナルがわずかで解析が難しいとされている細胞−抗体の相互作用解析は、高感度が特長のBiacore T200の得意とするアプリケーションです。センサーチップに固定できる細胞数には限りがあること、膜上に発現しているタンパク質量はごくわずかであることから、抗体の結合量は数RUとごくわずかです。このレベルのシグナルは、従来機ではノイズに埋もれてしまい、検出が難しいことがありました。
図2はセンサーチップに固定化した細胞表面と抗CD4抗体、抗CD25抗体、抗CD247抗体のカイネティクス解析をBiacore T200で行った事例です。数RUという低いシグナルでもノイズの少ない、信頼性の高いセンサーグラムが得られ、KD値を求めることができました。

図1. 細胞−抗体の測定
図1. 細胞−抗体の測定
細胞と抗体の相互作用解析を行うには、細胞側を固定する必要があります。

図2. 固定化細胞と抗体のカイネティクス解析結果
図2. 固定化細胞と抗体のカイネティクス解析結果
抗CD4抗体、抗CD25抗体、抗CD247抗体それぞれで良好なカイネティクス解析結果が得られました。ネガティブコントロールとして用意した抗CD19抗体では特異的な反応を示すセンサーグラムは得られず、結合を確認できませんでした。このことから、シグナルが低くても特異的な結合の有無を確認でき、カイネティクス解析が十分行えるといえます。
 
〈測定条件〉
細胞 : Jurkat, clone E6-1
固定化方法 : アルデヒドカップリング(細胞膜上の糖鎖を介して固定化)

抗体、ホモダイマーなどの正確なカイネティクス解析

抗体やホモダイマーなどの1分子上に複数の結合サイトがある分子の相互作用を正確に解析するには“Avidity”の影響を除くのがポイントです。Avidityの影響についてはまだご存知の方も多くなく、紹介すると驚かれることもあります。
IgGのような抗体は1分子上に2つの結合サイトがあり、このような分子は多価分子と呼ばれます。その性質上2つの抗原にまたがって結合する多価結合(Avidity)がおこり、1:1結合の解離速度よりも遅くなります(図3、Rmax=80 RUのグラフ)。これを回避し、正確な解離速度を得るためには、固定化量をできる限り少なくし、固定化する分子間の距離を十分離し、1:1の結合となるような測定条件にすることが有効です(図3、Rmax=1 RUのグラフ)。
実際にどれだけ固定化量を減らせば、信頼性の高い速度定数が得られるか検証した例を示しました。固定化量を変化させて得られたセンサーグラム(図4)からは抗原の固定化量が少なくなるほど解離速度が速くなり、Avidityの影響が少なるくなることが分かります。また、それぞれの固定化量における速度定数をプロットした図(図5)からは、最大結合量(Rmaxが10 RU以下では速度定数が一定で、Avidityの影響が回避できることが分かります。以上のことから、多価分子の相互作用解析ではAvidityの影響を少なくすることが重要で、そのためには固定化量を極限まで減らす必要があることがわかります。Biacore T200では、固定化量を減らしてもシグナルがノイズに埋もれず、信頼性の高いセンサーグラムが得られるということから、得意なアプリケーションの1つといえます。

 最大結合量(Rmax):固定化した活性を有する分子のすべてに、相互作用分子が結合した際に得られるレスポンス

図3. 抗原結合量とAvidityの影響
図3. 抗原結合量とAvidityの影響
結合量が多いと多価結合がおこり、解離速度が遅くなることが分かります。

図4. 抗原の固定化量に依存したセンサーグラムの変化
図4. 抗原の固定化量に依存したセンサーグラムの変化
Rmaxが6 RU以下になるとAvidity効果がなくなり、(図3、Rmax=1 RUのグラフ)に近づいていることが分かります。

図5. 各最大結合量における速度定数とAffinity
図5. 各最大結合量における速度定数とAffinity
各最大結合量における結合速度定数ka、解離速度定数kbのプロット(左)と、KD値のプロット(右) です。どちらも最大結合量が10 RU以下で速度定数が一致しており、Avidityの影響が回避できていることが分かります。1:1 Bindingモデルで解析した結果です。

結合速度が速い低分子化合物 − タンパク質のカイネティクス解析

結合量を下げることでより正確に解析できるサンプル例として、結合速度の速い低分子化合物があげられます。結合速度が速いと、溶液中のアナライトが急速に消費され、その結果溶液中のアナライトに濃度勾配が生じて正しい測定ができなくなる、マストランスポートリミテーション(MTL)を起こします。MTLは固定化量を減らすことで軽減されることが分かっています。また、Rmaxと、マストランスポート定数(kt)、結合速度定数(ka)には高い相関があり、以下の関係式に従い、Rmaxを小さくしてMTLを回避する必要があることが報告されています。

Rmax< (5×kt) / ka

※ kt : 500 Da程度の低分子では107程度

低分子化合物の中には、kaが107程度と非常に速い結合速度定数を持つものがあり、その場合、最大結合量は5 RU以下が至適となります。そのため、シグナルをノイズに埋もれさせないよう、より感度の高い機器(図7)での検出が求められます。
次の例では、Thrombin(リガンド)と、Melagatran(MW 429.5 Da、アナライト)のカイネティクス解析を、最大結合量を2 RUに設定してBiacore T200を用いて行いました。1:1 Bindingモデルによりkaを算出し、測定温度に対してプロットした結果、温度の上昇に比例したkaの上昇が確認されました(図6)。これは、MTLの影響をほとんど受けず、本来の物性を反映した値が得られことを示唆しています。

図6. ThrombinとMelagatranのカイネティクス解析
図6. ThrombinとMelagatranのカイネティクス解析
各温度におけるセンサーグラム(左)と測定温度とka値の相関(右)

図7. 速度定数、解離定数のスペック範囲の比較
図7. 速度定数、解離定数のスペック範囲の比較
Biacore T200はBiacore 3000、T100よりも測定可能な領域が広がりました。


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