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分光倶楽部 基礎講座 第1回:分光測定原理(1)

「基礎講座」では分光光度測定を行うにあたって、押さえておきたい基礎的な測定原理についてご紹介します。

はじめに

分光光度計は、サンプルに特定波長の光を当てその光の透過率(吸光度)などからサンプルの定量や定性を行う測定器です。

ライフサイエンス分野では、主に核酸(DNA、RNA、オリゴヌクレオチド等)や、タンパク質の測定の他、酵素活性の測定などで利用されています。

光とは?

分光光度計で欠かせないものが、まず光です。

自然科学では、光は電磁波の一種として位置づけられており、電磁波は空間の電場と磁場の変化によって形成された波(波動)と定義されています。電磁波は、図1に示すように波長領域ごとに呼び名があります。この中で、紫外線・可視光線・赤外線と呼ばれる波長領域のものを一般的に光と呼びます。

電磁波の波長と呼び名
図1:電磁波の波長と呼び名
(別ウィンドウで大きく表示)

波長領域がおおよそ380~780 nmの光は人間の目で見ることができ、可視光線と呼ばれています。光の色は図1のように波長によって連続的に移り変わって見えます。 波長ごとに光の色が順に移り変わること、またはこの色の並びをスペクトルと呼びます。

可視光線よりも波長が短い紫外線、逆に長い赤外線は、人間の目では見ることができません。

波長と吸収の関係は?

人間の目に見えている物質の色は、その物質が吸収した波長の光の色の補色です。したがって、赤く見える物質は、赤の補色である青緑色の光を吸収しています。

物質には特定の波長の光を吸収する性質があり、その吸収パターンはその物質の化学構造と深くかかわりがあります。

ランベルト・ベールの法則

吸光度を測定することにより、その物質の濃度を定量的に分析する方法を一般的には吸光度分析法または、吸光光度法といいます。

ランベルトの法則

吸光度は濃度が一定の場合では光が透過する長さ(光路長)に比例します。この法則をランベルトの法則と呼びます。

サンプル溶液に光をあてると溶けている物質によって光が吸収され、サンプル溶液を透過する光は弱くなります。その割合のことを透過率(Transmission)、透過率の対数をとって正数としたものが吸光度(Absorbance)です。

サンプル溶液にあてる光(入射光)の強さをI0、サンプル溶液を通過した光(透過光)の強さをIとすると、透過率(Transmission)、吸光度(Absorbance)は以下の式で表されます。

透過率(%T)=( I/I0 )×100%
吸光度(A)=-Log10(%T/100)
=-Log10( I/I0
=Log10( I0/I )

透過率と吸光度
図2:透過率と吸光度
(別ウィンドウで大きく表示)

入射光I0がサンプルを通過したときの光の強さの減少は、光が透過する長さ(光路長)をℓとし、ランベルトの法則から以下の式で表すことができます。

Log10(I0/I)=aℓ
すなわち、吸光度(A)=aℓ
aは物質固有の定数で吸収係数と言います。 ランベルトの法則は単色光でのみ成り立ちます。

ベールの法則

溶液の場合には、一定の厚さの溶液層(一定の光路長)を通過する光の強度の減少は溶液のモル濃度に比例します。すなわち、吸光度はモル濃度に比例します。この法則をベールの法則と呼びます。

ベールの法則から、以下の関係が成り立ちます。

a=εc

εは物質固有の定数で、モル吸光係数といい、1 cmの厚みをもつ1 mol/lの溶液中を光が通過したときの光の強さの比の逆数で、単位はl/(mol・cm)です。
cは試料のモル濃度(mol/L)です。
通常は、0.01 mol/L程度以下の濃度の溶液で上記関係が成立すると考えられています。

ランベルト・ベールの法則

2つの法則を合わせると、以下の式が成立します。これをランベルト・ベールの法則、ランベルト・ベールの式と呼びます。

吸光度(A)=εcℓ

これより、溶液の吸光度は、溶液の濃度と溶液層の厚さ(=セルの光路長)に比例することがわかります。

濃度・光路長と吸光度の関係
図3:濃度・光路長と吸光度の関係
(別ウィンドウで大きく表示)

ライフサイエンス分野で、分光光度計でDNA、RNAなどを測定する場合には、濃度としてモル濃度(mol/L)ではなくの重量濃度(µg/ml)などを利用することが多いため、ランベルト・ベールの法則を踏まえつつ、簡便に以下の式を用いています。

濃度(C)= 吸光度(A)/ 吸光係数(K)× セルの光路長(ℓ)

吸光係数(K)は 物質固有の数値で、二本鎖(ds)DNAの場合は、50 µg/mlのサンプルを光路長10 mmのセルを用いて測定した場合の260 nmにおける吸光度が1.0になることがわかっています。つまりdsDNAの吸光係数は、

吸光係数=1.0 / (50 (µg/ml) × 10 mm) = 0.002 (ml/µg・mm)

となります。したがって、光路長10mmでは、

dsDNAの濃度(C)(µg/ml)
=吸光度(A)/ 0.002 × 10
=吸光度(A)× 50(µg/ml)

二本鎖DNAでの計算と同様に、一本鎖DNAで37 µg/mlのサンプルを光路長10 mmのセルを用いて測定した場合に吸光度が1.0、RNAの場合は40 µg/mlのサンプルの吸光度が1.0、オリゴヌクレオチドの場合は塩基配列により多少変動しますが、おおむね33 µg/mlのサンプルの吸光度が1.0となることが分かっているので、以下の計算式で定量することができます。

dsDNAの濃度(µg/ml)=A260 × 50
ssDNAの濃度(µg/ml)=A260 × 37
RNAの濃度(µg/ml)=A260 × 40
オリゴヌクレオチドの濃度(µg/ml)=A260 × 33
(A260:260 nmでの吸光度)

 

 

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